日本消化器外科学会雑誌
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副腎動脈瘤破裂の1治験例
堀家 一哉吉田 沖佐尾山 信夫津田 洋原内 大作田中 克浩増田 栄太郎
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1992 年 25 巻 8 号 p. 2205-2208

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抄録

腹部内臓血管に発生する動脈瘤は比較的まれな疾患とされている.なかでも副腎動脈瘤の報告は少ない.今回われわれは後腹膜出血をきたし緊急手術を行った副腎動脈瘤破裂を経験したので報告する.症例は53歳, 男性.前胸部痛を主訴に近医を受診, 血圧のコントロールのみで翌日まで経過観察されていたが, 昼過ぎ頃より左季肋部-側腹部痛出現し腹部膨隆も著明となったため当科紹介された.腹部computed tomographyにて左腎周囲に異常陰影認め, 血管造影では左副腎動脈領域に径8mm大の瘤を認めた.副腎動脈瘤破裂による後腹膜出血の診断にて緊急手術施行.手術は出血部位を発見しその動脈壁を縫合閉鎖した.術後経過は十二指腸潰瘍よりの出血を認めたが, 保存的加療にて止血し術後34日目に軽快退院した.血管造影法の進歩とともに, 今後こうした内臓動脈瘤の報告が増加すると考えられ, また急性腹症の鑑別診断として考慮すべき疾患の1つであると考えられる.

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