日本消化器外科学会雑誌
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膵転移を来たした腎細胞癌の1例
中川 国利土屋 誉桃野 哲佐々木 陽平佐藤 寿雄
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1992 年 25 巻 8 号 p. 2200-2204

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抄録

症例は63歳の女性で, 4年前に右腎細胞癌で右腎摘出を, 2年前左肩皮膚転移巣の切除を受けた.以後当院泌尿器科で経過を観察していたが, 腹部超音波検査で膵臓に境界明瞭で低エコーレベルの充実性腫瘍を多発性に認めた.またcomputed tomography検査でも, 造影剤で濃染する腫瘍像を認めた.endoscopic retrograde pancreatographyでは主膵管の圧排伸展や尾部での完全閉塞を, 腹腔動脈造影検査では境界明瞭なび漫性濃染像を多発性に認めた.以上より, 腎細胞癌膵転移もしくは原発性膵腫瘍と診断し, 膵全摘術を施行した.切除標本では, 膵全体に多発性の境界明瞭な腫瘍を認めた.組織学的には, 4年前に切除した腎細胞癌に一致した混合亜型で, 腎細胞癌の膵転移と判明した.

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