日本消化器外科学会雑誌
Online ISSN : 1348-9372
Print ISSN : 0386-9768
ISSN-L : 0386-9768
成人腸無回転症を伴った結腸放線菌症の1例
斎藤 拓朗土屋 貴男木暮 道彦遠藤 幸男鈴木 弘行阿部 幹井上 仁元木 良一
著者情報
ジャーナル フリー

1992 年 25 巻 8 号 p. 2223-2227

詳細
抄録

成人腸無回転症を伴った結腸放線菌症の1例を経験したので報告する.
症例は54歳の女性.左下腹部痛と便秘を主訴に来院した.左下腹部に圧痛を伴う8×7cmの可動性のない腫瘤を触知した.注腸X線検査と大腸内視鏡で, S状結腸に境界不明瞭な全周性の内腔狭窄と粘膜面の粗大顆粒状変化を認め, 腹部computerized tomographyで左下腹部の腫瘤に一致して腸管壁の肥厚像を認めた.術前には炎症性腸疾患と結腸癌の鑑別ができず, 開腹術を施行したところ腸回転異常症 (non-rotation type) の合併が明らかとなった.腫瘤はS状結腸に存在し, 回盲部と横行結腸を巻き込み, それぞれに狭窄部を形成していた.回盲部からS状結腸までを切除し回腸瘻を造設した.組織学的に悪性像は無く, 腫瘤は線維化を伴う炎症性肉芽で, 多発した膿瘍の中心部に放線菌の菌塊 (sulfur granule) を認め, 結腸放線菌症と診断した.

著者関連情報

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top