日本消化器外科学会雑誌
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潰瘍性大腸炎に対する回腸肛門吻合術の臨床的および機能的成績
宇都宮 譲二
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1992 年 25 巻 8 号 p. 2248-2253

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抄録

回腸肛門吻合術 (IAA) とは直腸粘膜を肛門歯状線上で完全に切除することを前提とする.著者は1979年東京において研究を開始し, 1983年以降兵庫においてさらに改良して術式を確立した.すなわちprone-jack-knife位における経肛門腹式medium cuff, 粘膜切除, Jpouchの肛門括約機構への直接の吻合および空置的イレオストミーの常用である.手術対象となったUC65例中64例98%に実施することができ, 評価対象51例中88.2%に成功し, その排便機能は平均排便回数4.8回continent率66%であった.不成功例は6例でいずれも骨盤内感染にかかわる排便機能障害であった.3期分画手術 (Schneider法) を原則的 (75%) に行い, 術式が定型化した1988年末以降では成功率はさらに改善されている.本法により外科的UC例の90%は自然肛門を温存しつつ症状から離脱しうるものと考える.また一層の排便機能の改善とpouchitis (11%) など晩期合併症の解決にはさらなる研究を要する.

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