日本消化器外科学会雑誌
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食道静脈瘤直達手術における危険因子の検討
大橋 薫丸山 俊朗大浦 慎祐渡邊 勇児島 邦明深澤 正樹別府 倫兄二川 俊二
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1993 年 26 巻 10 号 p. 2387-2394

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抄録

食道静脈瘤に対する直達手術の危険因子を明らかにするため, 肝硬変症432例を対象に手術術式, 手術時期, Child分類, ICG負荷試験, 一般肝機能, 耐糖能ならびに肝癌の有無などについて手術死亡例と耐術例を比較し, 以下のごとく結果をえた. 1) 予防, 待期, 緊急の各手術時期でChild C (n=97) はA (n=162), B (n=173) よりも手術死亡率が有意に高率であった (p<0.01). 2) ICG血衆停滞率 (ICC-R15)≧50%, ICG血衆消失曲線 (K-ICC) <0.04ならびに血清アルブミン値 (Alb) <3.5g/dl, 血清ヨリンエステラーゼ値 (Ch-E) <300IU/l, プロトロンビン時間 (PT) <40%, ヘパプラスチンテスト (HP) <40%, 血清総ヨレステロール値 (T, Cho) <100mg/dl, 血清総ビリルビン値 (T-Bil) ≧2.5mg/dlを示す症例は手術死亡率が有意に高率であった. (p<001). 3) 緊急手術では肝癌合併例 (n=6) は非合併例 (n=24) に比べ手術死亡率が有意に高率であった (p<0.01). 以上より, Child C, ICC-R15が50%以上あるいはK-ICGが0.04未満, Ch-E300IU/l 未満, PT 40%未満, HP 40%未満を示す肝機能不良all, 肝癌を合併した場合の緊急手術例は直達手術のハイリスク群と考えられた.

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