1993 年 26 巻 10 号 p. 2395-2400
Flow cytometry (FCM) と病理組織学的因子から胃癌遠隔転移様式の検討を行った。DNA aneuploidyの頻度は, 開腹時に遠隔転移が認められた腹膜播種陽性群P (+) で53.7%, 肝転移陽性群H (+) で80.6%, 腹膜播種+肝転移陽性群P (+) H (+) で74, 1%であった。これに対し術後5年以上無再発群P (-) H (-) では46.3%であり, H (+) とP (+) H (+) はP (-) H (-) に比べ有意にDNA aneuploidyが高率であった (p<0.01) 。また, DNA index (DI) からの検討ではP (+), P (-) H (-) は全例DI≦1.6であるのに対し, H (+), P (+) H (+) ではDI≧ 1.7が27.8%と33.3%に認められた.病理組織学的分化度では, P (+) の68.3%が未分化型であるのに対し, H (+) の778%は分化型であり, 両群間に有意差を認めた (p<0.001) 。 しかし, P (+) H (+) では病理組織学的分化度に差を認めなかった。
以上のことから, 癌細胞核DNA ploidy pattern, DIと組織分化度は, 腹膜播種と肝転移の重要なrisk factorであることが示唆された.