日本消化器外科学会雑誌
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リンパ節転移をきたした肝細胞癌の2切除例
森田 俊治後藤 満一永野 浩昭左近 賢人金井 俊雄梅下 浩司若狭 研一桜井 幹己中村 仁信黒田 知純門田 守人森 武貞
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1993 年 26 巻 10 号 p. 2449-2453

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抄録

リンパ節転移をきたした肝細胞癌の切除症例を2例経験したので報告する.症例1は72歳の男性で, 肝前区域の直径約3cmの肝細胞癌の診断にて, transarterial chemoembolizationを施行後開腹手術を施行した.開腹時に傍大動脈リンパ節の肝細胞癌の転移を1個認めたため, その摘出に加え肝右葉切除を施行した.消化管出血にて死亡したが術後4年間の長期生存をえた.症例2は55歳の男性で, 肝S6に直径約9cmの腫瘍と傍門脈領域の複数のリンパ節腫脹を認め, 開腹手術を施行した.術中迅速病理組織診にて肝細胞癌のリンパ節転移と診断され, 腫大したリンパ節の全摘出に加え肝S6亜区域切除術を施行したが, 術後3か月にて残肝再発を認め, 4か月目に癌死した.文献的考察の結果, 転移したリンパ節の個数が1個のみである場合はその切除により長期生存が可能となることが示唆された.

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