日本消化器外科学会雑誌
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消化器癌でのリンパ節転移と癌遺伝子発現, どちらがより有力な予後因子か
元島 幸一兼松 隆之
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1993 年 26 巻 10 号 p. 2483-2487

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抄録

胃癌, 胆管癌, 膵癌を対象として, リンパ節転移と癌関連遺伝子発現のどちらがより有力な予後因子であるかを検討した.切除標本のパラフィン切片とc-myc, p53, K-ras, erbB-2, epidermal growth factor receptor (EGFR), EGF, TGFα 抗体を用い, 免疫組織学的に検討した.単変量解析はgeneralized Wilcoxon method, 多変量解析にはCox modelを用いた.単変量解析で有意な予後因子は, 胃癌120例では全因子, 進行胃癌80例ではリンパ節転移, K-ras, EGF, TGFα であった.進行胃癌の35例の再発死亡について多変量解析を行うと, リンパ節転移 (p=0.012) のみが有意で独立した予後因子であった.胆管癌60例の単変量解析では, リンパ節転移, erbB-2, EGFR, TGFα, 膵管癌57例ではリンパ節転移とEGFRが有意な予後因子であった.胆管癌, 膵管癌での2年以内の早期再発死亡についての多変量解析で, 胆管癌, 膵管癌のいずれでもEGFRが有意で独立した予後因子であった.

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