日本消化器外科学会雑誌
Online ISSN : 1348-9372
Print ISSN : 0386-9768
ISSN-L : 0386-9768
輪状膵, 腸回転異常を伴ったwindsock型十二指腸膜様狭窄の1成人例
吉田 禎宏中田 昭榿斎藤 恒雄今冨 亨亮中村 浩子
著者情報
ジャーナル フリー

1993 年 26 巻 10 号 p. 2478-2482

詳細
抄録

Windsock型十二指腸膜様狭窄 (以下本症) はまれな先天奇形で, 成人例は極めて少なく, 全周性管腔内十二指腸憩室と報告されている5例を含め11例の本邦報告例がみられるにすぎない.
輪状膵, 腸回転異常を伴った本症の1成人例を経験した.患者は47歳の女性.数年来の心窩部痛, 上腹部膨満感を主訴に入院した.消化管X線検査にて, 十二指腸球後部狭窄, 下行脚に西洋梨状嚢状陰影と周囲透明帯, 胃潰瘍, 腸回転異常を認めた.内視鏡検査では, 十二指腸下行脚に全周性の膜様物を認め, 一部に肛側に通じる小孔を認めた.
本症の診断のもと, 開腹手術を施行した.十二指腸ループは形成されておらず, 下行脚上部に輪状膵を認め, 十二指腸切開による検索で, 輪状膵部に狭窄, その肛側にwindsock型十二指腸膜様狭窄 (径6mmの偏心性小孔) を認めたが, 十二指腸乳頭は確認できなかった.広範囲胃切除術, Billroth II法による再建, 十二指腸十二指腸吻合を施行した.術後経過は良好であり, 術後23日目に退院した.

著者関連情報

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top