1993 年 26 巻 10 号 p. 2508-2511
胃癌組織におけるc-erbB-2蛋白の発現およびp53異常蛋白の発現を調べ, 転移形式・予後との関係について検討した.
c-erbB-2蛋白陽性症例は対象160例のうち17例 (11%) であった.c-erbB-2蛋白陽性例の5年生存率は29%であり, 陰性例の47%に比べ予後が有意に不良であった.p53異常蛋白の発現は原発巣96例のうち52例 (54%) に認めた.p53異常蛋白陽性群のリンパ節転移率は85%であり, 陰性群の64%に比べて有意に高かった.DNA ploidy patternとの関係では, p53陽性群のAneuploidの割合は69%であり陰性群の45%よりも有意に高かった.またKi-67陽性細胞率はp53陽性群の30.6%に比べ陰性群25.1%と陽性群の方が有意に高かった.p53陽性群の三年生存率は33.6%であり, 陰性群の57.6%に比べて低い傾向が見られた.
胃癌におけるc-erbB-2蛋白の発現およびp53異常蛋白の発現は予後規定因子として有用であると考えられた.