日本消化器外科学会雑誌
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早期大腸癌に対する低侵襲手術の適応
渡邊 昌彦大上 正裕寺本 龍生北島 政樹
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1993 年 26 巻 10 号 p. 2548-2551

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抄録

大腸の早期癌に対し, 教室では低侵襲手術を積極的に導入している.内視鏡的切除不能の結腸m癌には, 腹腔内で操作を完結する腹腔鏡下局所切除 (3例), 腹腔鏡を併用し小切開で腹腔外で切除を行う腹腔鏡併用大腸切除 (7例) を施行した.一方, 内視鏡的切除不能直腸m癌には経肛門的局所切除を34例に行った.これらの方法は終痛が極めて軽微で第7病日までに退院可能であった.さらに, 全層で標本が得られるため十分な病理学的検索が可能である.
根治的切除が施行されたsm癌 (100例) のうちリンパ節転移が認められたのは, 結腸1.7% (1/56), 直腸9.1% (4/44) であり転移陽性リンパ節はすべて壁在のn1群であった.したがって, 低分化型腺癌や脈管侵襲陽性のsm massiveはR1+αのリンパ節郭清を伴う切除とし, m癌のみならずsm癌も低侵襲手術の適応と考えられた.

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