1993 年 26 巻 10 号 p. 2542-2547
早期胃癌の治療は, 癌の進行度に応じた治療が検討されてきているが, endoscopic resection (ER) の適応外の2-3cmのIIa, IIcに対して, 内視鏡下の点墨生検法による癌の組織学的境界の決定ならびに病巣のERによる組織学的深達度診断の上に立脚した胃局所切除を提示し, ERの深達度がm, sm (+) の7例に局所切除を施行し, 病理学的にも安全であった.ERの深達度がsm (廾) の3例には, 胃切除を施行した.ERによる癌遺残例に対しても, 胃切除でなく, 積極的な胃局所切除を行うべきである.ERの組織学的深達度診断に立脚した早期胃癌の治療の適応は, 内視鏡的切除を行う内科側と縮小手術を行う外科側との接点を解決するものであろう.