日本消化器外科学会雑誌
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大腸癌の血行性転移再発例の組織亜型よりみた組織学的悪性度
斉藤 善広椎葉 健一溝井 賢幸安西 良一鈴木 幸正浅沼 拓佐藤 正幸佐々木 巌松野 正紀
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1994 年 27 巻 9 号 p. 2113-2118

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抄録

大腸癌の血行性転移再発の組織学的予知因子の検索を行った.進行大腸癌の治癒切除症例で, 術後の血行性転移再発症例 (A群) 25例, 非再発症例 (B群) 32例の合計57例を対象とし, 浸潤に伴う, より低い分化程度への形態変化の有無, 癌深部での先進部における低分化腺癌の要素 (以下, por compo.) の有無, 粘液成分 (以下, muc compo.) の有無の点より検討した.形態変化は, A群では25例中16例64.0%にみられ, B群の32例中8例25.0%に比べ有意に高頻度であった.またpor compo-もA群では21例84.0%にみられ, B群の13例40.6%に比べ有意に高頻度であった.しかし, muc compo-に関しては両群間に有意差を認めなかった.以上より, 癌組織内で浸潤につれ低い分化形態への形態変化を認める症例, 特に癌先進部において低分化腺癌の要素を認める症例は, 血行性転移再発の可能性が高く, 組織学的予知因子となるものと考えられた.

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