日本消化器外科学会雑誌
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表在食道癌におけるepidermal growth factorおよびepidermal growth factor receptorの発現に関する研究
田中 幸一左野 千秋神代 龍之介山崎 繁通城戸 和明犬塚 貞光
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1995 年 28 巻 12 号 p. 2227-2235

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抄録

表在食道癌の悪性度をより的確に予測するために, パラフィン切片を用いた免疫組織学的方法で表在食道癌のepidermal growth factor (EGF) とepidermal growth factor receptor (EGFR) を検討した.対象は術前未治療の表在食道癌36例で, 進行食道癌32例をコントロールとした.表在癌では深達度がsm3がmm, sm2に比べ, またリンパ管侵襲陽性例が陰性例に比べEGFの発現が有意に高率であった.EGFの発現の強いものは弱いものより有意に術後生存率が低かった.EGFの発現は表在癌と進行癌の間に差はなかった.EGFとEGF-Rの両者とも発現する症例はリンパ管侵襲が有意に高率であり, 術後生存率は有意に不良であった.再発症例の9例はすべてEGFの発現がみられた.
以上より, EGF, EGF-Rは表在食道癌の初期より発現していると考えられ, とくに, EGFは表在食道癌の予後, 再発を予測する重要な指針となる可能性のあることが示唆された.

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