1995 年 28 巻 12 号 p. 2236-2241
選択的迷走神経切離術兼幽門形成術後20年以上経過症例について, 胃内外分泌能の生理学的および形態学的変化を検討した.基礎および最高酸分泌量の減酸率はそれぞれ78.2%, 75.8%と, 術後早期と同じように良好に保たれていた.空腹時および肉汁エキス刺激時のガストリン値は, 術前と比較し有意に高値を示し, 高ガストリン血症を呈する症例が多く認められた.高酸群の壁細胞は術前と同じく, 細胞内分泌細管の内腔開大は認められず, microvilliの長さと数も保たれていた.これに対して, 低酸群では細胞内分泌細管の内腔開大, microvilliの長さと数の減少および配列の乱れが目立った.電顕および免疫染色によるガストリン細胞の観察ではG-cell hyperplasiaが認められ, また肉汁エキス刺激では, 基底側細胞膜にΩ 型開口分泌像を示し, 術後20年以上経過してもその反応性が十分保たれていることがわかった.