日本消化器外科学会雑誌
Online ISSN : 1348-9372
Print ISSN : 0386-9768
ISSN-L : 0386-9768
選択的迷走神経切離術兼幽門形成術後長期経過症例の胃内外分泌機能の生理学的ならびに形態学的検討
佐藤 浩一前川 武男巾 尊宣矢吹 清隆岡原 由明石黒 陽津村 秀憲渡部 洋三
著者情報
ジャーナル フリー

1995 年 28 巻 12 号 p. 2236-2241

詳細
抄録

選択的迷走神経切離術兼幽門形成術後20年以上経過症例について, 胃内外分泌能の生理学的および形態学的変化を検討した.基礎および最高酸分泌量の減酸率はそれぞれ78.2%, 75.8%と, 術後早期と同じように良好に保たれていた.空腹時および肉汁エキス刺激時のガストリン値は, 術前と比較し有意に高値を示し, 高ガストリン血症を呈する症例が多く認められた.高酸群の壁細胞は術前と同じく, 細胞内分泌細管の内腔開大は認められず, microvilliの長さと数も保たれていた.これに対して, 低酸群では細胞内分泌細管の内腔開大, microvilliの長さと数の減少および配列の乱れが目立った.電顕および免疫染色によるガストリン細胞の観察ではG-cell hyperplasiaが認められ, また肉汁エキス刺激では, 基底側細胞膜にΩ 型開口分泌像を示し, 術後20年以上経過してもその反応性が十分保たれていることがわかった.

著者関連情報

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top