症例は65歳の男性.健診時の腹部超音波検査で肝腫瘍を指摘された.肝炎ウイルス陰性で腫瘍マーカーは正常であった.超音波検査で肝S4S5に径5.5×4.2cmの境界明瞭な腫瘤を認めた.CTscanおよび肝血管造影で肉腫様肝細胞癌, 肝肉腫, 転移性肝腫瘍などが疑われる肝悪性所見と診断し, 肝S4S5切除術を行った.組織学的には腫瘍は菲薄な被膜を有し圧排性に増生し, 核分裂像が散在性に認められ, 腫瘍は一部被膜を破り周囲の肝小葉に浸潤を認めた.免疫染色で平滑筋肉腫と診断した.術後, ガリウムシンチを含めた全身検索では異常を認めず, 原発性肝平滑筋肉腫と診断した.本症例を含めた本邦報告例36例について文献的に検討した.