日本消化器外科学会雑誌
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同時性副腎転移を伴った結腸癌の1切除例
鎌迫 陽川本 俊輔田中 礼一郎柴崎 信悟村上 穆
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1995 年 28 巻 12 号 p. 2308-2311

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抄録

副腎のみに孤立性転移を認めた結腸癌の1例を経験した.症例は71歳の女性で腹痛のため入院した.来院時Douglas窩に小児頭大の腫瘤を触知した.CEAは24.3ng/mlと高値で注腸造影検査でS状結腸癌と診断した.腹部CTでは右腎上極に接して肝後区域に一部浸潤のみられる6×5cmの腫瘤陰影があり, 血管造影検査では右下副腎動脈に栄養されていた.手術所見ではS状結腸癌は子宮に直接浸潤がみられ合併切除した.右副腎腫瘍は右腎脂肪被膜および肝後区域を一部切除して摘出した.切除標本所見はS状結腸は6.5×5.0cm, 2型, 全周性の高分化腺癌で子宮への浸潤がみられ, また右副腎は結腸と同様の組織型であった.術後CEAは0.2ng/mlと低下したが, 術後8か月でCEAの上昇がみられ肝再発が確認された.大腸癌の副腎転移の根治的切除例の報告は調査しえた限りでは自験例を含め異時性3例, 同時性2例がみられるのみで, 同時性の転移の切除例は極めてまれと思われる.

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