日本消化器外科学会雑誌
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下血を繰り返した小腸血管脂肪腫の1手術例
中村 順一中尾 量保宮崎 知仲原 正明荻野 信夫西田 俊朗辻本 正彦
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1995 年 28 巻 12 号 p. 2304-2307

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抄録

血管脂肪腫は皮下に好発する有痛性の腫瘍であり, まれに肝臓や腎臓での発生も報告されている.今回, 小腸原発の血管脂肪腫の1例を経験したので報告する.症例は66歳の女性である.昭和62年9月頃より年に数回, 下血を認めていたが, 平成4年5月に多量の下血を認め近医受診し, 小腸造影にて空腸に腫瘤陰影を認め当科紹介される.小腸内視鏡検査にてTreitz靱帯より約30cmの空腸に表面平滑な山田II型の腫瘍を認め, 平成4年8月25日に空腸部分切除術を施行した.腫瘍は大きさ6.5×3.5×3.5cm, 表面平滑で一部にびらんをともなっていた.病理組織学的に脂肪組織と増生血管が混在し, 血管脂肪腫と診断された.検索し得た限りにおいて本邦および海外において, 消化管原発の血管脂肪腫は胃原発の血管脂肪腫の2例が報告されているのみであり, 極めてまれな症例と思われた.

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