日本消化器外科学会雑誌
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外傷性脾損傷における腹部超音波検査による腹腔内出血量推定の意義
菊地 充遠藤 重厚広沢 邦浩葛西 猛
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1996 年 29 巻 11 号 p. 2111-2115

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抄録

腹腔内出血の総出血量および時間出血量を腹部超音波検査 (US) を用いて評価, 検討を行った.外傷性脾損傷36例を保存的治療を行ったA群: 10例, 手術をしたが脾を温存したB群: 9例, 脾摘術を行ったC群: 17例の3群に分けた.検討の結果, 推定出血量はA群;727.3ml (平均), B群: 1,077.8ml, C群;1,585.3mlであり, A, C群間で有意な差が認められた (p<0.05).推定出血量と開腹時出血量との相関関係を手術施行例 (26例) で検討したが, R=0.748, p<0.01で良好な相関関係が認められた.A群の時間出血量は124.7ml/h (平均) であったのに対し, B群256.2ml/h, C群258.5ml/hとB, C群で出血量が多いことが明らかとなった.またA群, C群間でp<0.05で有意な差が認められた.以上から, 脾損傷による腹腔内出血量からみた手術適応は, 総出血量が1,000ml以上または時間出血量150から200ml以上が外科的治療を考慮すべきであると思われた.

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