日本消化器外科学会雑誌
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大腸癌イレウスの臨床病理学的検討とその治療, 特に緊急手術の適応について
江口 輝男植田 利貞中村 正彦喜多島 豊三岩井 重富
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1996 年 29 巻 11 号 p. 2116-2121

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抄録

大腸癌イレウスの臨床病理学的特徴とその治療, 特に緊急手術の適応について検討した. 1976年から1994年までの大腸癌手術症例は252例で, そのうちイレウス症状を呈した症例 (イレウス群) は31例 (12. 3%) であった. イレウス群は非イレウス群に比べ男性に多く, 肉眼的には3型, 全周性が, 組織学的には深達度ss以上, n (+), ly (+), v (+) が多かった. 肝転移, 腹膜転移も多く, stage IIIa以上の進行癌が多かった. イレウス群のなかで1期的に切除しえた症例は分割手術が施行された症例よりも治癒切除率は高かった. 当院ではチューブドレナージによる待期的な1期的吻合治癒切除をすすめているが, 左側結腸では症例により緊急手術としている. その基準として,(1) イレウス発症から治療開始までに1週間が経過している,(2) 局所に強い圧痛を持っている,(3) 4日間のチューブドレナージで効果の現れないものとした.

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