日本消化器外科学会雑誌
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左側結腸癌・直腸癌における大動脈周囲リンパ節転移の検討
中川 英刀吉川 宣輝柳生 俊夫三嶋 秀行福田 和弘辛 栄成蓮池 康徳小林 研二
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1996 年 29 巻 11 号 p. 2122-2126

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抄録

左側結腸癌, 直腸癌における大動脈周囲リンパ節郭清の適応と意義を考える目的で, 253番リンパ節転移陽性 (n3群) または216番リンパ節転移陽性 (n4群) が証明された62例の生存率の検討を行った.n3群とn4群の間には有意差はなく, 肉眼的に切除できた症例が有意に生存率が良好であった (p<0.0001).さらに肉眼的に遺残なく切除できた40例の生存率の検討では, 左側結腸, Rs直腸癌 (p=0.0021), 転移リンパ節個数が少数の群 (p=0.0035) で有意に生存率が良好で, n3群n4群の別, 術前CEA値, 郭清度には有意差はなかった.性機能障害など術後合併症のある大動脈周囲リンパ節郭清は, 骨盤内側方リンパ節転移のない左側結腸癌とRs直腸癌, 低分化腺癌以外で, skip転移を含む比較的転移リンパ節の個数が少ない症例が良い適応と考えられる.n3群n4群の多くが肺や骨, 全身リンパ節に再発していることから, 化学療法など術後に強力な全身的治療が必要である.

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