日本消化器外科学会雑誌
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門脈内腫瘍塞栓により肝右葉萎縮を伴った胆管細胞癌の1切除例
市東 昌也神徳 純一宮崎 洋史亀井 秀策
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1996 年 29 巻 11 号 p. 2160-2164

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抄録

門脈内腫瘍塞栓を伴う胆管細胞癌の1切除例を経験したので報告する.症例は59歳の男性.検診で肝機能障害を指摘され当院を受診した.血液検査で上記およびCA19-9の異常高値を認め, 血清検査ではHBeAg (+) HBeAb (-) であった.画像検査で肝右葉に76×51mmの腫瘍を認め, 門脈右枝の完全閉塞を伴っていた.以上の結果より胆管細胞癌と診断し, 尾状葉合併肝右3区域切除 (R2), 総胆管切除, 左肝内胆管空腸Roux-Y吻合術を施行した.組織学的所見は著明な血管侵襲を伴う中分化型管状腺癌で, 門脈内腫瘍塞栓を形成し所属リンパ節転移を認めた.経過は良好で術後9か月の現在再発の徴候はなくCA19-9値は正常である.以上より症状が全くない場合でも肝機能障害を認めた場合には超音波を用いた幅広いスクリーニング検査が必要であり, また治癒切除が可能な症例には積極的に外科的切除をすることで長期生存の可能性が出ると考えている.

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