肛門外脱出を来した直腸癌を2例経験した. 症例1は51歳の男性で, 直径4cm大で腫瘍が肛門縁から5cmの部位に存在した. 直上にBorrmann 1型の腫瘍を併発しており, 2群リンパ節郭清を伴う超低位前方切除を施行した. 病理組織検査ではm癌であった. 症例2は68歳の女性で, 直径約6cm大の腫瘍が肛門縁から3cmの部位に存在した. 超音波内視鏡でsm癌と診断し経肛門的に切除した. 病理組織検査でもsm癌であった. 切除断端には癌組織を認めなかった.
大腸癌が肛門脱出を来す機序としては有茎性腫瘍が脱出する場合と直腸脱に伴う腫瘍脱出があるが, 前者の場合は腫瘍の大きさにかかわらず早期癌である可能性が非常に高い. 自験例では2例とも前者の機序と考えられた.