日本消化器外科学会雑誌
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消化器手術を施行したパーキンソン病症例-特にその周術期管理について
則行 敏生岡島 正純吉岡 伸吉郎田中 恒夫八幡 浩浅原 利正福田 康彦西亀 正之土肥 雪彦加藤 良隆
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1996 年 29 巻 11 号 p. 2205-2209

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抄録

パーキンソン病とは, 錐体外路症状である振戦, 筋硬直, 無動を3徴とする慢性進行性疾患である.パーキンソン病を基礎疾患に持つ患者に消化管手術を行った場合, 術後の一定期間は抗パーキンソン剤の内服が困難となるため, 術後にパーキンソン病症状の悪化を来し, 術後管理に難渋することが多い.
パーキンソン病患者3例に消化器手術を施行し, 2例に術後麻痺性イレウスを認め, そのうち1例で, パーキンソン病の悪化により呼吸管理に気管切開を要した症例を経験した.これらの症例の術前後の経過について述べ, パーキンソン病に対する周術期管理について検討を加えた.
術後パーキンソン病症状を抑え, 早期離床をはかり, 呼吸器合併症, 腸管麻痺を予防することが重要で, そのために十分な抗パーキンソン剤を用いる必要があると考えられた.

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