日本消化器外科学会雑誌
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腹部鈍的外傷における腹腔鏡検査の有用性
三木 康彰角村 純一長谷川 利路水谷 伸門田 治田附 裕子永井 勲岩瀬 和裕上池 渉
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1996 年 29 巻 11 号 p. 2210-2214

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抄録

腹部鈍的外傷の治療方針決定における全身麻酔下腹腔鏡検査 (以下, DL) の有用性について検討した. 1989年以降5年間に入院した腹部鈍的外傷81例に対して腹部X-P, 超音波検査を全例に, CT検査を68例に施行した. 手術適応に迷った17例にDLを施行し, 13例を手術適応とし, 4例を非手術適応と判断した. 手術適応例では, 進行性腹腔内出血, 極少量の腸液貯留, アミラーゼ高値の希血性腹水の所見を認めたが, これらのうち7例はBlumberg's sign陰性であった非手術適応例では, 後腹膜血腫 (骨盤骨折), 腹壁血腫を認めた. これらは全例Blumberg's signを認めており, 2例にCT上腹水の貯留を認めていたが, 保存的治療が奏効した. DLは損傷臓器を直視下に観察することができ, 臨床所見X-P, US, CTでは得られなかった質的診断が得られ, 手術適応の判断に有用であった.

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