食道憩室を伴った先天性食道気管支瘻の1例を経験した. 症例は53歳の男性で, 人間ドックで上部消化管造影を行ったところ, 食道憩室気管支瘻を認めた. これは, 胸部中部食道左側に憩室を認め, 憩室底より左肺下葉の気管支が造影されていた. 食道内視鏡では, 胸部食道に食道憩室があり底部に瘻孔開口部を認め, 気管支鏡では, 瘻管の開口部は確認できなかったが, 食道内チューブより色素を注入し左B6付近からの色素の流出を認めた
手術は食道憩室と瘻管の切除を行った. 病理学的には, 瘻管の内腔の大部分は重層扁平上皮で被われ平滑筋を伴い, 辺縁の一部に多列線毛上皮が見られ, 両者には移行像も認められた.
この疾患は本例を含め本邦では55例が報告されているが左気管支と交通する例は珍しく本例は8例めの報告である.