日本消化器外科学会雑誌
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宮城県の胃癌治療-集検発見例の特徴と当院における治療成績の変遷
藤谷 恒明小松 智山並 秀章三国 潤一角川 陽一郎神山 泰彦小野 日出麿菅原 暢大内 清昭
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1998 年 31 巻 10 号 p. 2118-2122

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抄録

宮城県の胃癌治療を集団検診発見例 (集検例) を中心に検討した. また, 宮城県立がんセンター (センター) における胃癌治療の特徴を他の県内6基幹病院と比較した. 最後にセンターの胃癌治療成績の変遷を解析し以下の結果を得た. 宮城県の胃癌罹患数は増加, 死亡数は横這いであったが, 年齢調整罹患率, 死亡率はともに減少傾向にあり, この差異は人口の高齢化によりもたらされた. 調査した県内7基幹病院の中では, センターの集検例の占める割合が最も高く, さらにこれら7施設での集権例の割合も全国的にみても高かった. 1960年から1990年の期間で, 集検と治療法の進歩によって得られた致命率の低下が死亡率全体の低下に寄与した割合は, 男71%, 女37%であった. 集検例は早期の癌を有し, 手術成績も良好であった. センターの治療成績は1970年代にStage II, IIIで著しく改善しており, その一部に補助化学療法が寄与したものと考えられた.

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