日本消化器外科学会雑誌
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新潟における胃癌治療の特長
特に早期胃癌に対する合理的治療
梨本 篤薮崎 裕牧野 春彦土屋 嘉昭筒井 光広田中 乙雄佐々木 壽英
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1998 年 31 巻 10 号 p. 2123-2127

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抄録

新潟県は胃癌の多発県のひとつであり, 当院はその約1割を手術している.主に早期胃癌 (EGC) に対し, 外科的局所切除 (SLR) 112例, 腹腔鏡下楔状胃切除 (LAP) 5例, 幽門保存胃切除術 (PPG) 51例, 噴門側胃切除術 (PXG) 38例, 大網温存縮小胃切除術 (OPG) 377例を施行したので各種縮小術式につき臨床評価を加えた.【成績】(1) SLRには術後の愁訴は殆どなかった.再治療を要したのは6例 (再発2例, 多発4例) であるが, 姑息切除の1例を除き胃癌死はなく他病死を含む5生率は81.9%であった.(2) LAPには, 再発例はなく全例生存中である.(3) PPGは残胃炎, 食道炎が少なく, 体重の回復は良好であったが, 残胃への胆汁逆流は24%に認められた.再手術は2例に施行されたが, 全例外来通院中である.(4) PXGに胃癌死はないが, 5生率は84.2%である.(5) OPGは術後イレウスの発生が少なく, 現在まで原病死はない.【結語】EGCに対し, QOLの向上をはかり, 遠隔成績を損なうことなく合理的縮小手術が可能であった.

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