日本消化器外科学会雑誌
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国立がんセンター中央病院外科 (東京) における胃癌診療の特徴-食道浸潤胃癌に対する術式の選択を例に
笹子 三津留佐野 武片井 均日月 裕司渡辺 寛加藤 抱一丸山 圭一
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1998 年 31 巻 10 号 p. 2132-2135

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抄録

食道浸潤胃癌に対する標準術式は確立されていない. 1987年以前の当院治療例58例を解析し, 食道浸潤が1cm以上あると30%の症例で縦隔リンパ節転移があること, 縦隔転移陽性例では33%のn4例を含め78%がn2以上であることがわかった. これを元に, 1988-94年の期間は左開胸下の完全下縦隔郭清を伴うD2+16a21at郭清を原則とした. 37例がその治療をうけ, 術後在院死は1例で, 縦隔転移例5例は全員2年以内に死亡した. 同時期に, 自動吻合器により開腹創から十分な食道切除が行えるようになった. 左胸腹連続切開・下縦隔完全郭清と開腹+横隔膜縦切開による傍食道のみの郭清を比較するrandomized control trialを企画し, 1995年より多施設共同で実施している. 同試験では生存率以外に, 術後合併症, 術死, QOLも重要な評価項目としている. このように, evidence based surgeryを行っているのが, 当院胃癌治療の特徴といえよう

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