日本消化器外科学会雑誌
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当院における胃癌診療の特徴: 特に腹膜転移の新診断法と肝転移に対する動注化学療法
山村 義孝小寺 泰弘清水 泰博鳥井 彰人平井 孝安井 健三森本 剛史加藤 知行紀藤 毅荒井 保明
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1998 年 31 巻 10 号 p. 2136-2140

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抄録

(1) 開設後30年間に早期癌とくにm癌が増加し非切除が減少した. 1965-1989年の4,839例を5年ごとの5期に分け年代別治療成績を比較した. 非切除 (676例) と根治度C (563例) では変化がなく, 根治度AとB (3,600例) で約20%の向上を認めた. 成績向上はt2, n (+)(395例) で著しく (約33%), 手術単独群の治療成績の向上によりIII期以降では化学療法の併用効果がみられなくなった.(2) 150例の腹腔洗浄細胞診をPCR法と従来法とで比較した. PCR法で41例が, 従来法で27例が陽性と判定され, 18例で判定が異なった. この18例のうち, 従来法で陽性でもPCR法が陰性であった2例には腹膜転移がなく, 従来法で陰性であってもPCR法が陽性であった16例中5例に腹膜転移を認め, 従来法よりもPCR法の方が腹膜転移とより高い相関を示した.(3) 肝転移例に対する抗癌剤 (5-FU, MMC, ADM) の肝動注の効果を40例で検討した. CR6例を含む奏効率72%を得, 50%生存期間は15か月であった.

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