日本消化器外科学会雑誌
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進行空腸癌を合併したPeutz-Jeghers症候群の1例
馬渕 秀明西口 完二中田 英二太田 雅之井上 仁児玉 慎一郎谷川 允彦
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1998 年 31 巻 11 号 p. 2265-2269

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抄録
我々は進行空腸癌を合併したPeutz-Jeghers症候群 (以下, P-J症) の1例を経験したので報告する. 症例は43歳, 男性のP-J症患者である. 腸閉塞症にて近医より当院を紹介された. 消化管精査の結果, 胃, 小腸および大腸に多発性のポリープを認め, 腸閉塞症状が反復するため外科的治療を行った. 開腹の結果, 腹膜播種を伴う全周性の空腸癌を認め, 組織学的診断は粘液癌であった. 本例は高度進行癌であったため, どのような経路を経て癌が発生したか推察できなかった. P-J症のポリープの癌化を示唆する報告が増えてきた現在, その癌化の機序は解明されるべき重要な課題であると考えられ, P-J症の診断確定時より癌の合併も念頭においた厳重な経過観察を行う必要があると思われた.
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