日本消化器外科学会雑誌
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小腸間膜より単独に発生したデスモイド腫瘍の1例
安達 尚宣丹野 弘晃原田 昭彦赤石 敏音羽 剛
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1998 年 31 巻 11 号 p. 2270-2274

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抄録
腹腔内デスモイド腫瘍は家族性大腸腺腫症の患者や消化管手術後に発生することが多く, これら既往のない単独発生症例はきわめてまれであり, 1970年以降本邦報告例は自験例を含め13例にすぎない. 今回, 我々は単独に小腸間膜より発生した腹腔内デスモイド腫瘍を経験したので文献的考察を加え報告する.
症例は59歳の男性で, 右下腹部腫瘤を主訴に来院し, 同部位に可動性を有する弾性硬な腫瘤を触知した, 消化管透視では上部小腸の圧排像を認めたが, 腸管ポリポーシスの所見はなく, CT, MRIでは内部均一な充実性腫瘍を認めたため, 腹腔内腫瘍の診断で開腹術を施行した. 腫瘍は小腸間膜に存在し, 表面平滑な17×12×9cm大, 球状, 灰白色の充実性腫瘍で, 正常小腸間膜を約0.5-1cm付けて摘出術を施行した. 病理組織検査でデスモイド腫瘍と診断された. 本腫瘍は浸潤性に発育するため再発率が高いが, 本症例は術後2年3か月を経た現在, 再発を認めず健在である.
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