日本消化器外科学会雑誌
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S状結腸間膜裂孔ヘルニアの1例
金子 順一今井 直基立山 健一郎角 泰廣坂東 道哉東 正樹吉田 直優東平 日出夫尾関 豊
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1998 年 31 巻 11 号 p. 2280-2283

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抄録
症例は53歳の女性. 腹部全体の痛みを訴え近医を受診した. イレウスの診断で保存的治療を受けたが改善せず, 著明な貧血と白血球増多を認めたため, 当院へ転院した. 来院時, 腹部は膨隆し, 圧痛および筋性防御を認めた. 腹部単純X線と腹部CT検査では拡張した小腸ガス像と鏡面形成を認めた. 絞扼性イレウスの診断で緊急手術を施行した. 開腹すると, S状結腸間膜に直径約2.5cmの異常裂孔が存在し, 小腸が150cmにわたり貫通して絞扼されていた. S状結腸間膜裂孔ヘルニアによる絞扼性イレウスと診断した. 壊死腸管は切除し, 裂孔は閉鎖した.
術後経過は良好で第14病日に軽快退院した. S状結腸間膜裂孔ヘルニアはまれであり, 文献的考察を加えて報告した.
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