日本消化器外科学会雑誌
Online ISSN : 1348-9372
Print ISSN : 0386-9768
ISSN-L : 0386-9768
大腸癌異時性副腎転移の1切除例
河合 徹服部 龍夫小林 陽一郎宮田 完志深田 伸二湯浅 典博林 祐次江畑 智希瀬古 浩鷲津 潤爾
著者情報
ジャーナル フリー

1998 年 31 巻 11 号 p. 2275-2279

詳細
抄録
症例は67歳の男性. 1994年6月21日S状結腸癌にてS状結腸切除を施行した. 肉眼所見では2型, 22×16mm, SE, P0, H0, M (-), 組織学的には低分化腺癌, se, ly2, v1, n4 (+), stage IVで大動脈周囲リンパ節に転移を認めたが根治度Bであった. 術後1年4か月に腹部CTにて右副腎に直径約5cmの低吸収域を認めたが, 画像上, 肺, 肝, 骨には転移所見を認めず単独副腎転移と診断し右副腎摘出を行った. 腫瘍は65×45×30mmで硬く, 割面は黄白色充実性であり, 病理組織学的にS状結腸癌と同様の病理所見を呈しており副腎転移と診断された. 副腎摘出1年1か月後腹部CT, 骨シンチグラフィーにて大動脈周囲リンパ節再発, 胸椎転移を認め, さらに7か月後, 下行結腸癌を合併し切除したが術後肺炎のため死亡した. 臨床的に大腸癌副腎転移例は全身諸臓器に転移を伴う例が多いが, 他の転移巣が無いか, あるいはコントロールできる場合には切除の適応がある.
著者関連情報

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top