1999 年 32 巻 12 号 p. 2654-2658
患者は72歳の男性. 大動脈周囲リンパ節転移と肝転移H2を伴う2型進行胃癌に対し, 胃全摘・膵脾合併切除, 肝転移巣切除, D4リンパ節郭清を行ったが, 大動脈周囲リンパ節が完全摘除できず, 非治癒切除となった. 術後化学療法として, 5-FU, adriamycin, mitomycin C (MMC)の肝動注, doxifluridineの内服, および, cisplatin, MMC, etoposide, pirarubicinの静注を行い, 外来でtegafur内服とlentinan静注を継続した. 遺残した大動脈周囲リンパ節転移は術後1年6か月の腹部CTスキャンで消失し, complete responseが5か月間得られた. 患者の状態は良好に保たれ, 血清CEAとimmunosuppressive acidic proteinは術後4年6か月まで正常値を維持した. 術後5年2か月に縦隔リンパ節再発により死亡したが, 肝再発は認めなかった. 本症例の長期生存には, 減量手術と術後早期の導入化学療法が奏効したことに加え, 長期の維持免疫化学療法が寄与したことが示唆された.