日本消化器外科学会雑誌
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皮膚瘻を形成した腸結核の1例
並川 努中村 生也近藤 雄二山下 邦康宮崎 純一荒木 京二郎
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1999 年 32 巻 7 号 p. 2040-2044

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抄録
症例は75歳の男性. 右側腹部の瘻孔からの腸液, 便汁の排泄を主訴に近医より当科紹介となった. 喀痰検査で結核菌が検出されGaffky3号で, 胸部単純X線写真では右上肺野に浸潤影を認めた. 大腸内視鏡検査では, 回盲弁直上に輪状狭窄を認め, これより口側には通過不能で, 瘻孔造影では, 腸管皮膚瘻から続く拡張した小腸が造影された. 腸結核の診断にて手術を施行した. 回盲部は炎症の波及により周囲と一塊となり, 回腸末端部は拡張, 肥厚しており, 瘻孔部を含めて右半結腸切除術を施行した. 切除標本では回腸末端部の多発した潰瘍の1つに瘻孔が連続しており, 病理組織学的には結核菌は証明されなかったが, Langhans型巨細胞を伴う類上皮性肉芽腫を認めた. 腸結核は一般に腸管壁の水平方向へ伸展し, 深部方向へは拡がりにくく瘻孔を形成することは極めてまれであり, 本症例は興味ある症例と考えられた.
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