日本消化器外科学会雑誌
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症例報告大量下血にて発症した単純性小腸潰瘍4例の検討
福井 貴巳横尾 直樹吉田 隆浩田中 千弘加藤 達史東 久弥白子 隆志山口 哲哉岡本 清尚
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1999 年 32 巻 7 号 p. 2035-2039

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抄録
下血にて発症する小腸潰瘍はまれな疾患である. 筆者らは, 緊急開腹術にて単純性小腸潰瘍からの出血であることを究明しえた4例を経験したので報告する. 症例は44歳の女性, 65歳の男性, 54歳の男性, 67歳の女性. いずれも主訴は下血. 術前検索で, 胃・十二指腸・結腸・直腸よりの出血は否定. 全例緊急開腹術施行下, 術中内視鏡にて小腸潰瘍よりの出血を確認後, 病巣を含めて腸切除術を施行. 組織学的には, いずれもU1-II~IIIの良性潰瘍で, 単純性小腸潰瘍と診断された. 小腸潰瘍の術前確定診断を得ることは非常に困難である. したがって, 高度な貧血をきたす下血を認めながら, 消化管検査にて原因を究明しえない症例においては, 小腸潰瘍からの出血の可能性も念頭におき, 診断と治療を兼ねた開腹術下小腸内視鏡の施行を考慮すべきであると考えられる.
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