日本消化器外科学会雑誌
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硬変肝における肝細胞外マトリックス構成成分の定量的解析とその意義
佐藤 尚紀畠山 優一五十嵐 渉小野 俊之小山 善久井上 典夫土屋 敦雄阿部 力哉
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1999 年 32 巻 8 号 p. 2085-2094

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抄録

肝線維化として肝に蓄積する細胞外マトリックス (以下, ECMと略記) に注目し, その定量化の硬変肝切除における意義について実験的に検討した. 肝硬変ラットを作成し肝部分切除を施行した. 切除肝組織標本にECMを構成するラミニン, フィブロネクチン, I, III, IV型コラーゲンの免疫染色を行い, 自動画像解析装置を用いておのおの定量化した. さらに肝切後24時間, 48時間における残肝のBrdU標識率を求め, 肝再生能の指標とした. 各ECMの測定値とBrdU標識率の関係においてラミニン, III型コラーゲン, IV型コラーゲンは肝切24時間後のBrdU標識率とおのおのr=-0.497, r=-0.511, r=-0.481 (すべてp<0.05), 肝切48時間後のBrdU標識率とおのおのr=-0.559, r=-0.444, r=-0.375 (すべてp<0.05) の有意な負の相関関係が得られた. したがって, 硬変肝におけるラミニン, III型コラーゲン, IV型コラーゲンの定量化は硬変肝切除後の肝再生能を予測する指標として有用であると考えられた.

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