日本消化器外科学会雑誌
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頸部食道に発生した嚢胞形成を伴う分離腫の1切除例
桜井 嘉彦宮北 誠山高 浩一林 憲孝田近 栄四郎清水 和彦
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1999 年 32 巻 8 号 p. 2095-2099

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抄録

今回, われわれは食道粘膜下腫瘍の診断で手術を施行し, 術後の病理組織学的検索にて 胞形成を伴う分離腫と診断された1例を経験したので報告する. 症例は53歳の男性. 主訴は嚥下困難, 咽頭異和感であった. 食道透視, 内視鏡検査, CTにて頸部食道に発生した粘膜下腫瘍と診断した. 手術は頸部食道切開により有茎性に発育する腫瘍を確認し, 腫瘍摘出術を施行した. 病理組織学的所見では, 腫瘍は食道粘膜下に存在しており, 重層扁平上皮と腫瘍との間には粘膜筋板はなかった. 腫瘍は嚢胞と脂肪腫様脂肪組織から形成されており, 混合線と軟骨を脂肪組織内に認め, 導管にはさまざまな大きさに拡張するものもみられた. 嚢胞は二層性の立方上皮で被覆され, 嚢胞の上皮は導管上皮と組織学的に同様であったことから, 嚢胞は導管の拡張によるものと考えられた. 腫瘍は気道組織の不完全分離により形成されたもので, 嚢胞形成を伴う分離腫と診断された.

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