日本消化器外科学会雑誌
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T細胞型胃原発悪性リンパ腫の1例
間中 浩国崎 主税市川 靖史金谷 洋松村 奈緒美山岡 博之嶋田 紘中谷 行雄北村 均
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1999 年 32 巻 8 号 p. 2100-2104

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抄録

症例は食欲不振を主訴とした77歳の女性. 4型胃癌の診断で当科に入院した. 上部消化管造影検査では胃のMC領域に巨大な皺壁の肥厚を認めた. 上部消化管内視鏡検査では全周性の皺壁肥厚と白苔を伴う易出血性の潰瘍を認め, 生検から悪性リンパ腫 (びまん性中細胞型) と診断された. N4, SI, stage III (Naqvi 分類) の診断で術前にcyclophosphamide, adriamycin, vincristine, prednisolone 療法 (以下, CHOP療法と略記) を2クール施行した. 化学療法後, 腫瘍の縮小傾向を認めたが腫瘍からの出血があったため平成8年2月20日胃全摘術, 膵脾合併切除術, D2郭清を施行した. 根治度はCであった. 患者は術後10か月で全身リンパ節転移により死亡した. T細胞型胃悪性リンパ腫の発生頻度はまれで, 化学療法が奏功しにくく, 治療方針も確立していない. 本疾患は有効な化学療法の確放が予後を改善すると考えられた.

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