日本消化器外科学会雑誌
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EBウイルス陽性十二指腸癌を合併した3重複癌 (胃癌・十二指腸癌・大腸癌) の1切除例
八木 美徳瀬下 明良三橋 牧荒武 寿樹山竹 正明藤田 竜一曽山 鋼一小川 真平亀岡 信悟
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1999 年 32 巻 8 号 p. 2110-2114

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抄録

症例は74歳の男性. 下血を主訴に来院. 胃前庭部後壁に0-IIa+IIc の早期胃癌と十二指腸球部後壁に2'型の腫瘍を認めた. また, 大腸内視鏡検査にて上行結腸に2'型の癌性潰瘍を認め, 胃癌, 十二指腸癌, 上行結腸癌の同時性3重複癌の診断にて手術を施行した. 術式は広範囲幽門側胃切除術, 上行結腸部分切除術を行った. 病理検査では胃: papillary adenocarcinoma, 十二指腸: moderately differentiatedadenocarcinoma, 上行結腸: moderately differentiated adenocarcinomaであった. 十二指腸の組織像はいわゆるwith lymphoid stroma様の所見があり, LMP-1免疫染色, EBER in-situ hybridizationにて多くの癌細胞に陽性であり, EBウイルスとの関連が示唆された. 胃癌におけるEBウイルスとの関連は報告されているが, 検索しえた範囲内では十二指腸癌においてEBウイルスとの関連を報告したものはなく, また十二指腸癌を合併した同時性3重複癌は本邦11例目の報告となる.

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