日本消化器外科学会雑誌
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4回の肝切除により8年間生存中の同時性大腸癌肝転移の1例
柴田 信博柴田 高新居延 高宏池田 公正北田 昌之高見 元敞竹田 雅司
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1999 年 32 巻 8 号 p. 2115-2118

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抄録

結腸癌の肝転移に対して4回の肝切除を施行し, 8年間生存中の症例を経験したので報告する. 症例は56歳の男性で, 1990年5月, 閉塞性イレウスのため緊急手術をうけた. 術中に横行結腸癌および転移性肝癌と診断され, 結腸右半切除と肝部分切除が行われた. 組織学的にはいずれも中分化型腺癌であった. 1年6か月後にCTスキャンにより外側区域の転移巣が発見され, 2回目の肝切除 (外側区域切除) が行われた. さらに4年後, CTスキャンによりS4とS8に2個の転移巣が発見され, 3回目の肝切除が行われた. その3年後にはS5に4cmの転移巣が発見され, 4回目の肝切除が行われ, いずれの組織診断も中分化型腺癌であった. 患者は初回手術より8年経過した現在, 元気に生存中である. 大腸癌肝転移に対する再肝切除の臨床評価はいまだ明らかでない. この症例経過は選択された症例に対する再肝切除の有効性を示すものである.

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