日本消化器外科学会雑誌
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成人型ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群を発症した硬変合併肝細胞癌の1切除例
横井 一樹原田 明生榊原 巧小松 義直吉田 滋矢口 豊久村上 裕哉福原 良之
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1999 年 32 巻 8 号 p. 2119-2123

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抄録

症例は63歳の男性. 高血圧, 糖尿病, B型慢性肝炎にて近医通院中, 腹部超音波検査にて肝内腫瘍陰影を指摘され紹介となった. 血液検査, CT, 血管造影検査にて肝硬変合併肝細胞癌と診断し, 開胸開腹下に肝部分切除術を施行した. 術後膿胸から菌血症を合併し同時に全身の皮膚に水疱, 膿疱が多数出現しNikolsky現象陽性であった. 胸水, 腹水, 動脈血よりメチシリン耐性黄色ブドウ球菌が分離されたためブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群 (SSSS) と診断した. 抗生物質投与と胸腔ドレナージにより軽快した.
SSSSの成人発症例は基礎疾患を有する場合がほとんどである. 自験例は高度肝硬変, 糖尿病による免疫抑制状態にあり, さらに肝切除, 術中大量出血などの過大侵襲が加わり発病に至ったと考えられる. 成人型SSSSは極めてまれで, 肝切除後の発症は過去に報告がなく自験例が初めてであった.

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