日本消化器外科学会雑誌
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大網原発巨大脂肪肉腫の1例
鯉沼 広治雨宮 哲岡 昭一山口 博関 博章村井 信二原 孝志赤松 秀敏古泉 桂四郎
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1999 年 32 巻 8 号 p. 2134-2138

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抄録

症例は58歳の女性. 腹部膨満, 下腿浮腫, 1か月間に約10kgの体重増加を主訴に当院を受診した. 腹部超音波検査で腹部のほぼ全体を占める巨大な充実性腫瘍を認め, 腹部CTでは不均一な造影効果を持つiso density mass, 腹部MRIではT1で低信号, T2で高信号として認められた. 腹部血管造影で胃大網動脈より腫瘍への新生血管の増生と腫瘍濃染を認めたが腫瘍全体としてはhypovascularであった. 大網原発腫瘍と診断し開腹手術を施行した. 腫瘍は大網切離のみで容易に摘出され, 大きは32×26×13cm, 重量6,900g, 暗赤色, 表面平滑, 内部は充実性で血液を含む壊死巣が散在した. 病理組織学的には混合型 (粘液型+円形細胞型) 脂肪肉腫であった. 術後11日目に退院したが, 術後3か月に局所再発を認めた. 術後4か月に再手術を施行したが腹膜播種のため, 再手術後約1か月で死亡した.

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