胃癌術後に発症したサイトメガロウイルス (以下, CMV) 肺炎の2治験例を経験した. 症例1は63歳の男性. 4型胃癌に対して術前腹腔内にシスプラチンを投与し, 胃全摘術を施行した. 術後間質性肺炎を発症した.CMV肺炎を疑い, 抗ウイルス剤を先行投与し, 軽快治癒した. 原因検索の結果, CMV肺炎と診断された. 症例2は66歳の男性. 左肺癌と早期胃癌の重複癌で, 術前放射線療法を受けていた. 幽門側胃切除術施行後, 間質性肺炎をきたした. 抗ウイルス剤投与にて治癒しえた. 治療後にCMVが同定された. 両症例とも肺炎発症時にリンパ球数は低下しており, 術前の化学療法あるいは放射線療法による免疫能低下がCMV肺炎発症に関与したと推定された. 抗ウイルス剤による治療後に起因ウイルスが同定された. CMV肺炎の治療成績は不良であり, 本疾患が強く疑われる場合, 抗ウイルス剤の早期投与は有用と考えられた.