日本消化器外科学会雑誌
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非機能性膵内分泌腫瘍と鑑別困難であった膵内副脾の1例
勅使河原 修末永 昌宏武内 有城早川 弘輝内田 豊彦内村 正史野村 尚弘
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2000 年 33 巻 11 号 p. 1821-1825

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抄録

術前検査で非機能性膵内分泌腫瘍が疑われたが, 術中迅速病理組織学的検査で膵内副脾と診断された症例を経験したので報告する. 症例は53歳の女性. 99年8月, C型肝炎のフォローのため肝ダイナミックCTを施行したところ膵尾部にplainで正常膵とiso density, early phaseで周囲よりhigh densityなφ2cmの腫瘍を指摘された. 入院後精査にて非機能性膵内分泌腫瘍を疑い, 膵体尾部脾合併切除術を施行した. 術中所見では腫瘤は, 膵尾部に結節として触知された. 切除標本で腫瘤の割面は暗赤色・弾性軟で正常脾組織の割面と極めて類似しており, 周囲膵組織との境界は明瞭であった. 術中迅速病理組織学的検査で膵内副脾の診断であった. 膵内副脾は切除の必要はなく, 膵尾部腫瘤の鑑別診断には副脾を考慮する必要がある.

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