日本消化器外科学会雑誌
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下大静脈原発平滑筋肉腫の1切除例
土屋 誉佐藤 俊生澤 史江西條 文人兒玉 英謙内藤 剛赤石 敏小針 雅男茂泉 善政山崎 匡
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2000 年 33 巻 11 号 p. 1826-1830

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抄録

症例は52歳の女性. 腹痛を主訴として前医受診, 手術にてIVC原発腫瘍と判明したため当院紹介された. IVC造影ではIVCの閉塞, 側副血行路の形成は見られなかった. 開腹すると腫瘍は中部IVCより壁外性に発育しており, 右腎静脈への浸潤を認めた. 右腎静脈を大伏在静脈にて再建した後, IVCの単純遮断下に腫瘍をIVCとともに切除し, IVCは人工血管にて再建した. 病理組織診断は平滑筋肉腫であった. 術後6か月のMRI検査ではIVCのpatencyは保たれていた. 術後17か月経過した現在, 再発の兆候なく外来通院中である. 下大静脈原発平滑筋肉腫は本邦での報告は自験例を含めて53例で, IVC切除後人工血管にて再建された症例は12例である. IVC切除にあたっては血流遮断時の体外循環の必要性, 腎静脈の処理方法などをIVC造影, 術中所見から判断することが重要である.

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