2000 年 33 巻 11 号 p. 1864-1868
血小板減少性紫斑病 (以下, ITPと略す) に対する開腹脾摘出術後で, 副脾が原因の再発に対し腹腔鏡下副脾摘出術が有効であった1例を報告した. 症例は40歳の男性. ITPに対し, 8年前に開腹脾摘出術が施行されたが, 3か月前より血小板数5.7×104/μlと低下傾向にあり, シクロホスファミド, プレドニゾロンの内服治療を受けていた. 腹部超音波検査, 腹部CT検査, 脾シンチグラフィーで指摘された副脾が, ITP再発の原因と考えられ, 腹腔鏡下副脾摘出術を施行した. 術30日後の血小板数は37.0×104/μlと回復し, 以後内服していたシクロホスファミド, プレドニゾロンは中止しえた. ITP再発時に画像診断で副脾を示す所見が得られた場合. 初回手術で開腹脾摘出術を施行していても, 再手術で開腹術を回避し, 腹腔鏡下副脾摘出術を安全に施行することが可能で, 外科的治療の第1選択となりうると考えられた.