日本消化器外科学会雑誌
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外因性液状フィブリングルー製剤の事前調整の可能性に関する実験的検討
鈴木 正徳小野川 徹海野 倫明遠藤 公人片寄 友竹内 丙午及川 昌也近藤 典子松野 正紀
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2002 年 35 巻 1 号 p. 18-23

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抄録

目的:用時調整が原則である液状フィブリングルー製剤において, 使用前に予め溶解して使用する事前調整が可能か否かについて検討した.方法: アベンティス・ファーマ社製Beriplast®でA液およびB液を作製し, A液, B液の経時的粘度測定, ブタ皮膚切片法を用いた抗張力測定, 調剤後のフィブリノゲン活性, トロンビン活性と第XIII因子の力価試験, およびA液, B液の経時的細菌繁殖試験を, 室温時 (20~25℃), 冷所保管時 (6℃) および37℃の3条件下において実施した.結果:(1) 抗張力: 10日間, いずれもの条件下においても抗張力の低下は認められなかった.(2) 粘度: 各種温度下でのA液の粘度は溶解後3日まで著変なし. B液は溶解直後から10日後まで不変.(3) 各種成分の力価: フィブリノゲン活性および第XIII因子活性の経時的変化は僅かであったが, トロンビン活性はすべての試料で3日までに48.9~63%に減少し, その後も次第に活性は低下した.(4) 無菌試験: A液, B液の調整直後, および10日後に検討では無菌であった. 結論:生体接着剤としての効果の面からBeriplast®の事前調整は十分可能である.

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