患者は50歳の女性で, 1996年9月 (47歳時) に3型進行胃癌にてD2郭清を伴う幽門側胃切除術を受けた.その病理組織所見は中分化型管状腺癌 (tub2), SE, INFγ, ly1, v0, N0で根治度Bであった. 1998年8月, 両側卵巣転移が出現し両側卵巣摘出術が施行された. 1999年10月頃より左季肋部痛が出現し, 腹部超音波とCT検査にて径5.0cmの充実性腫瘍が脾下極に認められた. 腫瘍マーカーはCA72-4が高値を示し, また注腸造影検査で結腸に陥凹性病変とその口側に全周性の壁の不整と硬化を伴う狭窄像を認めた. これらの所見より, 結腸浸潤を伴う胃癌の脾転移と診断し, 同年12月に開腹術を施行した.術中所見では, 結腸・横隔膜に浸潤する5cm大の腫瘍を脾下極に認めたため, 結腸と横隔膜合併脾臓摘出術を施行した. 病理組織学的には原発巣の組織像と類似しており, 胃癌からの脾転移と診断した. 術後13か月を経過し再発の徴候を認めず生存中である.